自作PCとBTOのメリットデメリットを徹底比較!同じ性能ならどっちが安くてお得? | タワプリ!

最近デスクトップパソコンを導入する場合には、自作PCかBTOのパソコンかという選択肢が増えてきました。特にゲーミングPCとしての使用も考えているなら、このどちらかから選ぶことが主流と言っても差し支えないかと思います。

そこで必ず気になるのが、どちらが安くて性能がいいのか?結局どっちがお得なの?という疑問です。

今回、自作PCとBTOのマシーンのメリットデメリットを、私のこれまでの経験を踏まえて、一般的な価格の比較の話以上に突っ込んで考えてみたいと思います。

  1. 自作PCとBTOの違いを簡単に説明
  2. BTOと自作PCを同じ構成にしたらいくら違うのか比較してみた
    1. BTOの人気モデルの構成と値段は?
    2. BTOと同じ構成で自作PCを組むと価格はいくらになる?
  3. BTOのメリット
    1. BTO製品にはPCとしての保証がある(重要)
    2. BTOは組み立てコストが含まれている
    3. BTOメーカーはパーツの大量購入で単価を下げられる
  4. 自作PCのメリット
    1. 組み立てコストが掛からない
    2. こだわりをマックスに出来る(重要)
    3. こだわりから選んだ場合はBTOより非常に安くなりやすい
    4. 拡張性が高い
    5. 組み立てが楽しい
    6. パソコン知識が高まり勉強になる(重要)
  5. BTOのデメリット
    1. パーツの選べる範囲が狭い
    2. 見た目(デザイン)があまり選べない
    3. 拡張性が微妙、自由度は自作よりも低い
  6. 自作のデメリット
    1. 相性、静電気など組立時のトラブル(重要)
    2. トラブルの際の原因究明に時間がかかる(重要)
    3. パーツを選ぶ時間がかかる(重要)
    4. 詳しくなるのに時間がかかる
  7. 自作PCがおすすめの人、BTOがおすすめの人の違いをまとめ
    1. BTOのPCが向いている人
    2. 自作PCが向いている人
  8. 短期的ではなく長期的視点で考えてみた場合
    1. 長期視点で見た場合の自作PCのメリット
    2. 長期的視点で見た場合のBTOのメリット
  9. おまけ 自作PCとBTO最初はどちらがいいのか?の中間案
  10. まとめ メリット・デメリットを把握して個人個人に合った最適な選択を

自作PCとBTOの違いを簡単に説明

この記事をご覧になっている方には説明するまでもないかもしれませんが、まず簡単に、自作PCとBTOの違いについて簡単に説明いたします。

自作PCとは、CPU・メモリ・ハードディスクといった、パソコンに必要な構成パーツを別々に買い揃え、自分で組み立てて作るパソコンのことです。

それに対してBTOはビルド・トゥ・オーダー、つまり受注生産という意味の言葉ですが、パソコンで使われる場合には、ショップやメーカーなどがパーツ単位で組み立てた完成品(オリジナルブランドPC)を販売しているものというような意味で使われます。

基本的な構成が先に提示されているモデルに対して、ある程度内容を自分で調整して注文する、まさに受注生産的な購入の仕方が出来るようになっているのがBTOパソコンの特徴です。

有名なBTOを取り扱っているメーカーとして、DELLやマウスコンピュータ、大手ショップのツクモやドスパラなどがあります。

自作PCは、完全に1から自分で構成やOSなどを選択できますが、組み立ては自分でする必要があります。

BTOの場合はメーカーやショップ側がカタログなどである程度の構成や選択肢が決められていて、その範囲で購入することになります。注文したものは組み上がった完成した状態で購入することになります。

組み立てが必要か必要でないかは大きな違いと言えます。

BTOと自作PCを同じ構成にしたらいくら違うのか比較してみた

まずは基準になる話として、実際のBTOのパソコンと同じパーツで自作PCを作った場合、どのくらい金額差があるかということを比較してみたいと思います。

パソコンと一口に言っても使用用途は広範囲に渡りますが、ここでは基準としてゲーミングPCを作ることを想定して進めてみます。

BTOの人気モデルの構成と値段は?

現在はコアユーザーがパソコンでゲームをするというのは当たり前のようになってきており、ゲーム用のいわゆるゲーミングPCも多くのメーカーやショップがBTOで企画販売しています。

今回はその中でも代表的なメーカーとして、価格comの人気最上位にランクされているマウスコンピュータの製品を選択してみたいと思います。

モデル名
NEXTGEAR-MICRO シリーズ im620SA1-SH2-KK

(画像出典:https://img1.kakaku.k-img.com/images/productimage/fullscale/K0001113060.jpg)

〜構成〜

OS Windows 10 Home 64ビット
CPU インテル Core i7-9700K プロセッサー
CPU FAN LGA 1151用
グラフィック・アクセラレーター GeForceR GTX 1060
ビデオメモリ 3GB
メモリ 16GB (8GB×2/デュアルチャネル)
メモリタイプ PC4-19200 DDR4
ストレージ M.2 SSD 240GB
ハードディスク 2TB
光学ドライブ なし
チップセット インテル Z390 チップセット (Micro ATX)
マウス USB光学式スクロールマウス
キーボード USB日本語キーボード (102キー)
電源 500W/AC 100V(50/60Hz)【80PLUS BRONZE】
PCケース オリジナルデザイン
保証期間 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート

●価格com 販売価格 159,800円+送料3,240円(税込み・2019年5月現在)

こちらのモデルはマウスコンピュータでも人気のゲーミングPCシリーズGTUNEのモデルで、ランキングも常に上位に入っているモデルです。BTO製品としては、現時点で価格も性能も非常にバランスの良い1台になっているかと思います。

BTOと同じ構成で自作PCを組むと価格はいくらになる?

では、このモデルと同じ構成で自作PCを作るといくらくらいになるのか?ネットでの最安値のパーツを選択して構成してみたいと思います。(カッコ内は販売店名)

〜構成〜

OS Windows 10 Home 64ビット 14,956円(Amazon・NTT-X Store 他)
CPU インテル Core i7-9700K プロセッサー 47,638円(Qoo10 EVENT)
CPU FAN LGA 1151用 GTUNEには4,000円程度のものが使用されているらしい
グラフィック・アクセラレーター GeForceR GTX 1060 ZOTAC製が採用されているらしいので同メーカーのモデルで計算 30,291円(Amazon)

ただし、上位モデルのメモリ6GBの方が調べた日には安かった(最安値 24,818円 ソフマップ)

ビデオメモリ 3GB
メモリ 16GB (8GB×2/デュアルチャネル)
メモリタイプ PC4-19200 DDR4 8,480円(ドスパラ)
ストレージ M.2 SSD 240GB 4,520円(ドスパラ)
ハードディスク 2TB 5,594円(ツクモ・ソフマップ)
光学ドライブ なし 0円
チップセット インテル Z390 チップセット (Micro ATX)
ASRock Z390 Pro4
12,202円(ソフマップ)
マウス USB光学式スクロールマウス 1,000円として計算
キーボード USB日本語キーボード (102キー) 1,000円として計算
電源 500W/AC 100V(50/60Hz)【80PLUS BRONZE】
玄人志向 KRPW-N500W/85+
4,497円(Amazon)
Micro ATX用ケース Thermaltake Versa H26 4,060円(Amazon・ツクモ・ソフマップ)

●合計価格 132,765円(送料込み、税込み・2019年5月現在)

送料まで含めて比較してみますと、自作のほうが30,280円安いという結果になりました。パーツの価格は日々変動していますのでタイミングもありますが、今回の計算ではそれなりの大きな価格差になっていると思います。

自作PCの内訳を考えると、ここ最近のメモリ価格の値下がりが大きく影響していますね。グラフィックボードに関しては上位モデルのほうが安かったので、そちらで計算しています。その分安いにもかかわらず性能がちょっと良くなっています。

およそ3万円と、それなりの価格差が出ました。ただし、これは参考として基準になる数字ではありますが、単純に3万円お得だね!と、そのまま鵜呑みにしてはいけない理由があります。

以下に、自作PCとBTOそれぞれのメリット・デメリットを比較することで、この価格差以外の価値の部分を評価して比較してみたいと思います。

比較した上で、自作PCが向いている人と、BTOが向いている人についてまとめていきます。

BTOのメリット

まずはBTOのパソコンのメリットからです。

  • BTO製品にはPCとしての保証がある(重要)
  • BTOは組み立てコストが含まれている
  • BTOメーカーはパーツの大量購入で単価を下げられる

要点は以上の3項目となりますが、内容の詳細を解説いたします。

BTO製品にはPCとしての保証がある(重要)

この保証に関しては、自作PCとBTOの大きな違いになります。

BTOマシーンには、完成品として大体1年間のメーカーまたはショップの保証が付きます。それに対して自作PCは、保証がないわけではないですが、それぞれのパーツ単位に付く保証となります。

BTOも自作PCも、何もトラブルがなければいいのですが、もしトラブルが起きた場合にこの保証の差がとても大きくなってきます。保証があれば、買ったものが動かなければ交換や修理をしてくれますし、電話などでのサポートも受けられます。

自作PCではパーツごとに保証先や問い合わせ先が変わりますが、BTOパソコンでは窓口は一つですから、この差は実際のトラブルの際にはとても大きくなります。

BTOは組み立てコストが含まれている

自作PCの場合、パーツ単位で購入して自分で組み立てる必要がありますが、BTOのマシーンは当然ですが完成品で購入することになります。組み立てが必要ないというところも、自作PCとの大きな違いになります。

この組立分の作業は、基本的には組立費用というコストになりますから、自分でそれをやらなくて良い分の費用が含まれています。

専門の知識(自作PCができることも十分に専門知識と言える)を持った技術者が、パソコン1台分の組み立てをした場合、その組立単価は2~3万円程度と計算されても何ら不思議はありません。

ここを「コスト」だと考えられる人にとっては、BTOの組立費用込みという価格はお得だと捉えられるかもしれません。

BTOメーカーはパーツの大量購入で単価を下げられる

BTOの価格には、上記の保証と組立費用などが含まれているので、パーツ単位で購入するよりもプラスアルファの価値があると言えます。

それを考慮するなら、実際のところはパーツ単位でそろえる場合の価格よりも抑えられている計算になる場合が多いです。

今回はゲーミングPCの人気モデルで価格比較していますので、この価格帯だとパーツ単位で揃えた方が通常大体1割程度安くなりますが、もっと安い価格帯のモデルだとBTOの方がパーツ単位で揃えても安くなったりする場合もあります。

なぜこのような価格が実現できているかと言うと、BTOをするメーカーやショップは、組み込みパーツをメーカーに大量発注して一括購入していたり、独自の設計でオーダーしたりすることで、パーツ単価を下げる努力をしています。

これらの経営努力を踏まえて、組立費用や保証を含めたお得感のあるパックでの価値を提供できています。

大量発注で価格を安く抑えるという方法は、大量に生産されればされるほど強くなりますので、大きいメーカーや、売れ筋の安価なモデルほど恩恵を受けやすくなります。

逆に、生産の少ないハイエンドモデルや、そもそも量産ができない大きくないショップのBTOマシーンなどではあまり影響は出ません。

自作PCのメリット

次に自作PCのメリットです。

  • 組み立てコストが掛からない
  • こだわりをマックスに出来る(重要)
  • こだわりから選んだ場合はBTOより大きく安くなりやすい
  • 拡張性が高い
  • 組み立てが楽しい
  • パソコン知識が高まり勉強になる(重要)

要点をまとめると自作PCのメリットはかなり多いと言えます。詳細の方を見ていきましょう。

組み立てコストが掛からない

自作PCの場合は、当然ですが組み立ては自分で行います。その分のお金を払う必要はありませんので、この部分で自作PCは相対的にBTOよりも安くなっていると言えます。

支払額を下げたいという目的があり、これをお得だと感じることが出来る場合には大きなメリットとなります。

こだわりをマックスに出来る(重要)

パソコンには、人それぞれ色々な部分に大きなこだわりが出てくる場合があります。

  • ほかの予算は抑えても最高のグラフィックボードにしたい!
  • オーバークロックで最強マシーンを作りたい!
  • 見た目をかっこよくしてさらに光らせたい!
  • 最も安くお得なPCを組み上げたい!
  • 最高に静かなパソコンを作りたい!
  • とにかく小ささを極めてみたい!
  • 仕事のためにこの機能だけは搭載したい!

などなど、いろいろなこだわりや好みを反映させることができます。

カスタマイズや発想の自由さ、これこそが自作PCの最高のメリットと考える人も多いかと思います。

こだわりから選んだ場合はBTOより非常に安くなりやすい

最初にマウスコンピュータのゲーミングPCと自作PCの価格比較をしましたが、この比較の仕方には実は落とし穴があります。

●BTO→自作PC

上に提示したようにBTOを基準とした比較ではなく

●自作PC→BTO

という方向で価格比較をする場合には、自作PCにこだわりがあればあるほどBTOとの価格差が大きくなるので、よりお得になる傾向があります。

例えば、ゲーミングPCが欲しい時に、こだわりとしてハイエンドのグラフィックボードを必須として考えた場合、BTOだと選択肢は非常に狭くなります。その上ハイエンドグラフィックボードを搭載しているのは、超ハイエンドモデルということになるので、構成をある程度変更したとしてもものすごく高額の購入価格しか選択肢がなくなります。

自由度の高い自作PCであれば、一点だけにこだわってその他の部分はとりあえず安いもので、というような極端な選択も可能です。

拡張性が高い

自作PCは自分で組み立てていますから、機能の増設や、パーツの組み換えについても柔軟性が高くなっています。

例えば新製品が出た段階で新しいパーツと交換して性能を上げれば、すべてを買い替えるよりも遥かに安価にパワーアップが可能です。

他にも

  • とりあえず最初の予算では安めのパーツを使って、あとでより良いものと交換
  • 古いパソコンからパーツを流用
  • 使ってみた結果、気に入らないところだけ交換

などなど、その拡張性の高さから様々な戦略を考えることもできます。

組み立てが楽しい

ここは人によって価値観が大きく変わる部分ではありますが、パソコンを作る事自体が楽しい作業だと感じる人にはお得な部分です。

向き不向きもありますし、ある意味プライスレスと言えるかもしれませんが、自作PCは多くの人の趣味としても成立するほど楽しいものであることは事実でしょう。

パソコン知識が高まり勉強になる(重要)

パソコンを組み立てることは勉強にもなります。

組み立てが楽しいということにもつながりますが、知識欲を満たせる部分もあります。自作の道は、追求すれば追求するほどパソコンに関わる様々な学びを深めていくことになります。

これはパソコンが好きな人にとっては逆に意外に感じるかもしれませんが、実際のところ自作PCのスキルというのは一般的にはかなり希少なものであると言えます。世の中でパソコンを組み立てたことがある人なんて現実にはほとんどいないわけです。

これは私の経験ですが、SE時代に自作PCの知識があるというだけで優遇され、職場でも重宝されたことがありました。当然のようにパソコンを使うような仕事環境であっても、意外とハードウェアには詳しくない人が多いというのが実際のようです。

なので自作知識は学びにもなり、そしてそれは将来自分の強みにもなる……こともあるかもしれません。

BTOのデメリット

次はBTOパソコンのデメリットについて見ていきたいと思います。

  • パーツの選べる範囲が狭い
  • 見た目(デザイン)があまり選べない
  • 拡張性が微妙、自由度は自作よりも低い

BTOのデメリットはかなり少ないと言えると思います。逆に自作PCに比べればメリットも少ないわけですが、突出しているところが少ないバランス型と言えるでしょうか。この違いも面白いところですね。

パーツの選べる範囲が狭い

BTOは言葉の意味の受注生産の通り、基本的には構成をある程度選択できます。とはいえ、それほど選択肢の範囲が広いとは言えません。

だいたいは基本スペックが一番お得になっている場合が多く、好みで変更しているうちに思ったより高くなってしまったなんてこともよく起こります。

見た目(デザイン)があまり選べない

見た目は人それぞれの好みによって価値観の違いが出る部分ではありますが、仕事で毎日使うような人などは、少しでも好みのデザインにして気持ちを良くしたいと考える人もいます。

そんな人にとっては、大体が無難なデザインになっているBTOの外観はあまり好ましくないと言えるかもしれません。

対象的に私のように机の下に配置しているため、見た目が全く気にならない人もいるでしょう。

いずれにしてもデザインの選択肢の少なさは、自作PCには大きく劣る部分です。

拡張性が微妙、自由度は自作よりも低い

自作PCの大きなメリットの一つが拡張性だとすると、BTOはその拡張性はかなり低めだということが言えます。

もちろんBTOにも様々なモデルがあり、中には拡張性の高いモデルもありますから一概には言えませんが、BTOの設計は、売るための戦略として単価を下げることと、設置面積を小さくすることという基本的な目標があるので、その分拡張性は削られる傾向が高くなっています。

そもそも拡張、つまり改造をしてしまうと保証対象外になってしまうので、販売側としても好ましくありません。ですので拡張に関するサポート(例えばマザーボードなど構成パーツのマニュアルを積極的に公開しない等)をしない場合も多くなっています。

自作のデメリット

次に自作のデメリットについて見ていきます。

  • 相性、静電気など組立時のトラブル(重要)
  • トラブルの際の原因究明に時間がかかる(重要)
  • パーツを選ぶ時間がかかる(重要)
  • 詳しくなるのに時間がかかる

自作PCはメリットも多いのですが、デメリットもとても多くなっています。どうしても安く作れるからという入り方をしてしまう場合がある自作PCですが、デメリットにはクリティカルな内容もありますので、ここの認識はとても重要になってくると思います。

相性、静電気など組立時のトラブル(重要)

自作PCの組み立てに関しては、楽しさというメリットになる場合もあれば、逆にリスクとしてデメリットになる場合もあります。

もっとも自作PCらしい固有の問題として相性問題があります。組み合わせたパーツそれぞれは正常品であるにもかかわらず、なぜか相性が悪く動かないということが起こります。

例えばマザーボードにメモリを指したが認識されない。しかしどちらも別のマザーボードやメモリーでテストすると問題なく動く。こういう事が起こりえます。

この場合どちらも不良品ではないですから、保証で交換などはできません。買い替えなどのリスクは自分で負担する必要があります。(ショップなどによっては相性保証を有償などでしているところもある)

他にも、精密機器であるために、静電気などで簡単にパーツが壊れてしまいます。単純に落としたりぶつけたりして壊わしたり、組立時に力みすぎてピンを曲げたり折ってしまったりということも。これらは自損事故ですからこれも保証は受けることができません。

パーツを間違えて買ってしまった場合のトラブルも同様です。未開封なら返品もできるかもしれませんが、開封して一度組み付けてからサイズや規格が間違っていたなどといった場合は、全額返品とはいきません。

もし仮に自作PCにしたことで1万円金額が安くなったとしても、組立時に1万円のパーツでこの相性問題や自損事故が起きてしまえば、あっという間にその金額差は埋まってしまうことになります。

金額もそうですが、買い直しにかかる時間やそのための手間なども含めてリスクと言えます。

トラブルの際の原因究明に時間がかかる(重要)

自作PCを組み立ててみたが、なぜか起動しない。説明書通りにやっているはずだがなぜか正常に動作しない。こんな場合にどこがおかしいのか判断することは実はなかなか難しいことです。

自作PCは大きく10パーツくらいで構成されていますが、そのうちの一つでも不良品だったり相性だったり差し込みが甘かったりなどがあれば、起動すらしません。

画面にエラーメッセージが出ていればまだわかりやすいですが、本体の組み立ての場合、そういった手がかりも少なく判断が難しくなります。ある程度の経験があれば判断もしやすくなってきますが(警告音で判別したりする)、経験が浅いほどトラブルの対処は難しいと言えるでしょう。

初めて挑戦する人が、自作PCのパーツ一式を揃えてから実際に使えるようになるまで数週間かかってしまったなんてことも。

その点BTOは完成品の単位での保証がありますから、動くか動かないかだけで判断基準になりますので、パーツごとに検証したりというリスクは低くなります。

パーツを選ぶ時間がかかる(重要)

ここも価値観で受け取り方が変わる部分ですが、最適な自作PCを作るための適切なパーツを選ぶためには、それぞれのパーツの性能や相場、それぞれの規格による組み合わせの可否、相性問題は無いかなど様々な情報を調べる必要があります。

BTOのように決められた構成から比較することに比べ、当然多く時間がかかるわけですが、この時間がかかることをリスクと考えるならデメリットということになります。

ただし、勉強になるという部分はここですし、色々な価格を調べたりすること自体を楽しめるならこの時間をかけることもメリットになると言えます。

詳しくなるのに時間がかかる

自作PCがなるべく最適になるようなパーツ構成を選び出すためには、当然ですが様々な知識が必要になってきます。そしてその知識を身につけるためには、ある程度の時間と経験が必要になります。

増えた知識はそれ以降のパソコンとの関わりの中でずっと活かせますから必ずしもデメリットとは言えません。しかし、そういう関わりを必要としていない人には単純に時間コストが多くかかっているデメリットとなります。

この点は、身近に詳しい友だちがいればかなり大きな手助けになってくれますね。もしいない場合は最初のうちはネットの掲示板などを主に頼ることになるかと思います。

自作PCがおすすめの人、BTOがおすすめの人の違いをまとめ

自作PCとBTOのPC、どちらが適しているかというのは、その人にとって何が得で何が優先だと考えるか、人それぞれの価値観で変わってきます。

それぞれのメリット・デメリットを比較した上で、自作PCとBTOの向いている人のタイプを簡単にまとめてみました。

BTOのPCが向いている人

  • 時間をコストだと考えている人
  • 手間より手軽さを優先したい人
  • 仕事で使うなどリスクをなるべく軽減させたい人
  • トラブル時に保証を受けられたほうがいい人

自作PCが向いている人

  • こだわりを優先したい人
  • 実現したい理想がある人
  • 挑戦することが好きな人
  • ちょっとでも支払い金額を安くしたい人
  • 組み立てや価格調査が楽しいと思える人
  • パソコンの知識を身に着けたい人
  • 自作PCに詳しい親友がいる人

両者を比較して考えた場合、少しでもこだわりに近いものがほしい、少しでも安くて高性能にしたいなど、多くの希望を叶えられるのが自作PC側ですが、その分リスクも高くなります。自作PCの方がメリットも大きい分デメリットも同じく大きいということが言えると思います。

対して、仕事でパソコンを使う人などは特にそうですが、少しでもリスクを避けたい、手間や心配事は避けたいというような目的の場合など、時間や労力はコストであるという、より実務的なイメージでパソコンを捉えている人などはBTOの方が有利であると言えます。

さらに大きくカテゴリするなら

  • 自作PC=知識のあるマニア向き、趣味向き
  • BTO=初心者向き、仕事向き

というような考え方ができるかと思います。

短期的ではなく長期的視点で考えてみた場合

パソコンを購入する時には、当たり前ですがそれがどのくらいの金額か、どのくらいお得なのかという風に大きな前提として考えますが、実はこれはその時点での割と狭い範囲での考え方になってしまっていると言えます。

こういった考え方については他ではあまり語られることはありませんが、もうすこし長期的な視点で考えた場合には、少し自作PCとBTOの選び方も変わってくると言えます。その辺りのポイントもここで提案してみたいと思います。

長期視点で見た場合の自作PCのメリット

自作PCの長期的視点でのメリット、それはやはり知識の蓄積です。自作PCは経験と知識が積み上がるほど、最適なパーツ選びが容易になります。相場の感覚がつかめればお得なPC作りや、失敗のない選択ができるようになっていきます。

さらに、2台目3台目とパーツのストックが増えていくことで、リスクの回避もできるようになっていきます。トラブル時に古いパソコンからパーツを移植したり、トラブル対応の速度も高まります。

そもそも購入したパーツのトラブルをチェックするときには、もう1台ちゃんと動くパソコンが必要になります。そのことからも自作PCは1台目のハードルがかなり高いと言えます。動作がおかしかった時に検証が難しいですからね。これも2台目以降は大きく改善していくことになります。

前述の自作PCのメリットでも書きましたが、知識の蓄積は仕事で役に立つこともあります。経験をこうして文章にすることもできます。ただし、友人知人にパソコンが詳しい人と認知されてしまうと、やたら便利屋のように使われてしまうこともあるので、ある意味では諸刃の剣でもあるかもしれません(人の役に立てること自体はとても楽しいですが)。

長期的視点で見た場合のBTOのメリット

もしもパソコンを使って行う作業に関して、最大の効率を求めている場合には、自作PCを作る時間や抱えるリスクは単純に作業時間を損失することですからデメリットになります。その点では、スペックをある程度選びながらも保証があり、完成した状態で受け取れるBTOパソコンというのは魅力的になるでしょう。

買ってみたものの組み立ての手間やトラブルなどで使えるようになるまで何日もかかってしまった、などという自作PCのリスクよりは、どんどんとパソコンを使った作業をこなしていくことのほうのメリットが高い場合には、余計な手間を減らせるBTOは有利に働きます。

例えばゲーミングPCの場合でも、その人が配信者だった、重要なイベントがあった、など必要な時に使えないのでは、それはお金では取り返せないような機会損失となってしまう場合もあります。

故障やトラブルなどの際には、あれこれ悩むよりも保証でさっさと対応してしまったほうが精神衛生上も良いでしょう。

ただしこの場合BTOの保証だけでなく、予備のパソコンがあって修理期間を乗り越えられる必要があります。なので、適度な買い替えローテーションをすることで、一つ前のパソコンを保守用のサブPCにするなどの長期的な視点での計画が必要不可欠です。

パソコンは言ってしまえばあくまで消耗品です。壊れることはあるという前提に立って、一定のサイクルで買い換えることで、保守や性能の担保もすることができます。

おまけ 自作PCとBTO最初はどちらがいいのか?の中間案

一つの考え方として、もしゲーミングPCを最初に購入する場合、自作PCとBTOのどちらがいいかという話で、中間案となるようなアイディアを提案してみたいと思います。

両者の特徴を考えた時に、自作PCには大きなメリットもありますが、デメリットも高く、特に1台目のハードルがとても高い。BTOは保証が付いていて初心者にも比較的安心。という相反する特徴があります。

この両者のいいとこ取りをするアイディアとして、1台目にBTOのパソコンを買って、それをだんだん改造していくという方法を提案してみたいと思います。

BTOのパソコンの場合大体1年間の保証がありますので、その間は無理に拡張はしないほうがいいですが、実際にBTOのパソコンを使いながらそのスペックやパーツの効果を体感しつつ理解を深めていき、ある程度の使用期間が経過したあとに少しずつ拡張しながらパーツ交換の実地経験を積んでいきます。

いずれCPUのアップグレードや新規格への対応が必要になったときには、PCケースやマザーボードなど大規模な組み換えが必要になってくると思いますが、その頃には全くはじめての自作PCよりはスムーズに自作に入っていけると思います。そして元のBTOパソコンは、サブPCや保守パーツとして降格することになります。

サブPCや保守パーツがあれば、それからの自作PCの難易度はかなり下がりますし、そこまでたどり着いていれば自作PCの知識も増えていることでしょう。

こんな感じで、最初の1台目という自作PCの大きなリスクをBTOパソコンで回避してしまうというのも、メリット・デメリットを並べて考えた場合、選択肢として思いついてくるのではないでしょうか。

これは万人向けのおすすめの方法というわけではありませんが、考え方の参考になればと思います。

まとめ メリット・デメリットを把握して個人個人に合った最適な選択を

パソコンを購入しようと考えた時、どうしても目の前の支払い金額に目が行ってしまいます。これは誰でも当たり前のことで仕方のないことです。

しかし、今やパソコンは生活の必需品になりつつあります。特に自作PCやBTOを考えている人は、仕事で使う人であったり、趣味でゲーミングPCとして使ったり、より密接にパソコンと付き合っていくタイプの人である可能性が高いでしょう。

そうなってくると今いくら払うかだけよりも、更に長期的な視点で考える方が、結局お得になる可能性が高いと思います。

自作PCでパソコン知識を増やしながら、それ自体を楽しい趣味としていくのか。BTOで手間とコストをなるべくかけずに作業を最大効率化していくのか。などなど。

それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、パソコンを使う目的に対していろいろな角度から最適な選択をすることによって、パソコンライフはより豊かなものになるでしょう。

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