ドライブの性能はパソコンの性能(快適性)そのものに大きく影響します。メリット・デメリットと規格について大まかにでも把握しておきましょう。
また、SSDにも形状や接続方式によって種類があり、性能にも差があります。購入前にしっかりチェックしておくことが重要です。
この記事では、「SSDとHDDの比較」と「SSDの種類」について初心者にもなるべくわかりやすく解説したいと思います。購入時に注意すべきポイントやお得な運用方法についても解説していますので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
SSDとは…
Solid State Driveの略で、半導体素子メモリを使用した記憶媒体(ドライブ)です。HDDがディスクに磁気を利用して記憶するのに対して、メモリに電気的に記憶するのが特徴です。
平たくいうと、「SDカードやUSBメモリと同じ方式で半導体に保存する、大容量・高速なパソコン用ドライブ」といったところです。
SSDのメリット
新型ドライブであるSSDにはHDDに比べてたくさんのメリットがあります。
特にゲーミングPCユーザーにとっては「読み書きが速い」ことが最大のメリットですが、他にも多くのメリットがあります。
読み込み・書き込み速度が速い
HDDと比べて大幅に速いです。規格や製品によって差はありますが、3倍は速いと考えてOKなくらいの差があります。
Windowsの起動速度も3倍。フォルダやブラウザの読み込みも3倍。あらゆるシーンで「キビキビ動く」と実感できるだけの差があります。
「速度や快適性を重視するならSSDを選ぶべき」と断言できるほどです。
TIPS:ゲームの速度も変わるの?
ゲームデータをSSDに保存すればゲームの読み込み時間も大幅に短縮されます。
ゲーム機がゲーミングPCに比べて読み込み時間が遅くイライラする最大の原因が、ゲーム機はHDDを標準搭載しているのに対してゲーミングPCはSSDが基本だからです。
特にデータ量の多いゲームほどその差は激しくなります。軽量化アップデート前の「PUBG」では、HDD搭載のPCだと建物の読み込みが終わらず、スタート直後は建物内に入れずゲームにならない事態まで発生していました。
寿命が長い
SSDは登場時点では故障や不具合が多く、一定量のデータを書き込みすると必ず寿命になる仕組みでもあるため、「寿命が短い」というイメージを持たれていました。
ですが、制御装置の進化した最近の製品では可動部の多いHDDよりも故障が少ないことが証明されています。
また、データの書き込み量の限度も毎日数GBを書き込んでも10年以上もちます。現実的には安くて高速化した新型に買い替えるまでの十分な寿命があるので心配いりません。
衝撃・振動に強い
物理的な可動部のないSSDは振動や衝撃に非常に強いです。
一方のHDDは磁気ディスクを回転させて読み書きする方式のため、衝撃で内部部品が故障しやすいだけでなく、書き込み時に振動を受けるだけでデータの破損につながるなど振動・衝撃には圧倒的に不利です。
コンパクトで軽量
デスクトップが主流のゲーミングPCには関係なさそうなメリットですが、実は結構重要です。
ゲーム中は高性能のパーツが全力で稼働するためPCケース内に多くの熱を発生します。その熱を冷やすためにケース内の熱い空気と外の冷たい空気を入れ替えるのですが、その際にHDDのような大きなパーツは空気の流れを邪魔してしまいます。
SSDは非常にコンパクトで軽量なためケース内の好きなところに設置でき、空気の通りを邪魔しません。
SSDのデメリット
性能的には悪いところが見当たらないと言えるくらい優秀なSSDですが、唯一の欠点は「値段が高い」ことです。
値段が高い
2019年7月時点でamazonで売れ筋の一般的なSSDとHDDを比較した場合、
SSD…1TB(1,000GB)で13,313円
HDD…4TB(4,000GB)で7,574円
1GBあたりでSSDは約13円に対して、HDDは約1.9円。7倍近い価格差です。
SSDの数々のメリットは強力ですが、PCにたくさんのデータを保存するという人にはこの価格差は致命的です。
SSDの賢い使い方
価格面のデメリットを抑えつつ、快適なPC環境を構築するのにオススメなSSDの運用方法が、SSDとHDDを併用して利用する方法です。
読み書きの速度が特に重要なOSとゲームのデータをSSDに保存し、映像や画像などそれほど高速な速度を必要としないデータをHDDに保存するようにすれば、体感ではキビキビ動きつつ価格を抑えることができます。
BTOショップでもこの方式をオススメするところは多く、SSD+HDDモデルが数多くラインナップされています。
基本構成にHDDがないモデルでも大抵の場合、オプションで追加することができるようになっているので、映像・画像データを多く(1TB以上)保存する予定の人はSSD+HDDモデルを選ぶようにしましょう。
・OSとゲームデータ以外はさほど保存しない → SSDのみ(500GB〜1TB)でOK
・映像や画像データも多く保存する予定 → SSD(300GB〜1TB)+HDD(4TB〜8TB)の構成がオススメ
・HDDのみは遅くてイライラする上に、ゲームによっては不利になるのでオススメしない
SSDの種類
SSDにも形状や接続方によって複数の種類があります。特に接続方式については見た目では区別がつきにくく、規格をしっかり確認しないと「思っていたような高性能じゃなかった…」となりかねないので注意してください。
形状の違い
現在一般的に「2.5インチタイプ」と「M.2規格」の2つの形状があります。
2.5インチタイプ…主流のタイプで、2.5インチ規格のHDDと同じサイズです。従来のHDD用のマウンタ(収納スペース)に固定して収納することができます。
HDDが搭載されているノートパソコンなら2.5インチタイプのSSDを購入すれば、そのまま載せ替えることができます。
M.2規格…最近登場した新しい規格で、専用の接続端子がついたマザーボードが必要です。サイズは非常に小さく、マザーボードに直接収納することができます。
TIPS:注意!形状ではSSDの速度は決まらない
1つ注意してほしいのが、SSDは形状が同じでも接続方法が異なる場合があることです。SSDの転送速度は形状ではなく接続方法で決まるので、例え最新のM.2規格のSSDでも
接続方式が2.5インチタイプと同じものが搭載されている商品なら、転送速度は変わらない。という点に注意してください。
接続方法の違い
SSDはPCへの接続方法の違いで、「SATA接続SSD」と「NVMe接続」の2種類に分けられています。
「SATA接続」…従来のHDDの接続にも使われてきた接続規格で、現在主流の「SATA3.0」だと理論値では最大で1秒間に750MBのデータが転送できます。
「NVMe接続」…M.2SSDという最新のSSDに対応した接続方式で、理論値での最大転送速度は1秒間に5GB(約5,000MB)です。
実際の商品で比較したベンチマークでも、6倍程度の速度差がつく結果が出ています。
読み書きの速いSSDが欲しい場合は、接続方式(SATA接続かNVMe接続か)に注意するようにしてください。
・形状…2.5インチタイプ or M.2規格 → M.2規格のSSDはマザーボードに専用のスロットが必要になる点に注意!
・接続方式…SATA接続 or NVMe接続 → NVMe接続が圧倒的に高速。M.2規格のSSDには両方の規格の製品が存在するので購入の際には注意!